君を愛す ただ君を……
【番外編】最後の真実
この街を出る前に、桐沼君に会えて良かった

もう一度、桐沼君には会って話がしたいと思ってたの

最後に会えて本当に良かった

言いたいことの半分も言えなかったけど…どうしてだろう

桐沼君と話をするとね

心が安らぐんだよね

『小原さん、辛いときこそ独りでいるべきだ。誰かに頼ることを知ったら、たぶん抜け出せなくなる』

そうだね

桐沼君の言うとおりだったよ

君も、そうだったの?

辛いときは、独りで耐え忍んできたの?

誰かに頼らず、解決の糸を見つけてきたの?

私はいつも、誰かに頼ってた

甘えて逃げてた

圭にもそうだったんだと思う

独りになるのが怖くて、離れられなくて…圭の奥さんを嫌がる言葉を聞いて、ほっと安心してた

こんなんじゃいけないんだよね

ちゃんと自分の足で立って、生きる力を作らないと

頼らない生き方をこれから、してみようと思うの

お腹の子と一緒に…私、頑張るからね

桐沼君、君とホテルで会ったあとにね

私、生理が来なくて病院に行ったんだ

そしたら、妊娠してた

圭の子だよ

だけど圭には言ってないんだ

私と別れるって言ったから、言っても仕方ないなって思って

だけど産みたい

ずっと好きだった人の子だから

知らない街で、子供と二人…新しい恋でも見つけながら生きていくね

ありがとう、桐沼君

君に会えたから、圭から離れることができたんだよ

勇気をもらえた
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