君を愛す ただ君を……
「あたし、越智君が好き。でもしぃちゃんも好きなの。大切な友達なの。友達が泣いて、苦しんでるのに、あたしは越智君と付き合えないよ。せめて、しぃちゃんの気持ちに整理がつくまでは…あたし、越智君と付き合うとかそういうのは考えられない」

「それは…しぃ個人の問題だろ?」

「そうかもしれないけど。あたしには出来ないの。しぃちゃんの泣き顔が、頭に焼きついてて…越智君を見ると、それがチラつくの。あたしが、越智君への気持ちを大ちゃんに話さなければ、しぃちゃんは泣かずに済んだのかも…とか、考えると胸が痛くて」

「そんなの自分勝手だ」

「わかってる。自分勝手なのは。だけど、嫌なの」

越智君が、『ふう』と息を吐き出すと、唇を舌で濡らした

「要は、涼宮は俺よりしぃのほうが大事なんだろ?」

「違う! 二人とも大事なの」

どうして、わかってくれないの?

「じゃあ、俺にどうしろって言うんだよ。涼宮の気持ちを知ってるのに、友達のままでいろって言うのかよ? 前みたいな関係でいろっていうのかよ! それって拷問だよ」

越智君が唇を噛みしめると、眉をひそめた

「拷問だなんて…」

「だってそうだろ? 好きなら一緒に居たいと思うだろ? 一緒に居れば、触れたいと思う。キスしたいし、それ以上のことだって……。両想いだってわかってるなら、なおさら欲望は強くなるだろ?」

「そんなこと言わないで…」

「当たり前の感情を言っただけだ」

あたしは下を向くと、その場に蹲った

「涼宮? どうした? 心臓が痛いのか?」

越智君もかがむと、心配な表情で覗き込んできた

「違う。痛くない。越智君に、あたしの気持ちが伝わらなくて胸が痛いの」

「そりゃ、俺のセリフだよ」

越智君が、あたしの額にキスをした

「俺がどんだけ涼宮が好きで、付き合いたいと思ってるのか。胸の内を見せられるのモノなら見せてやりたいよ」

越智君が中腰になってから、今度はあたしの脳天にキスを落とした

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