君を愛す ただ君を……
「どうして…教室であんなことを言ったの?」

あたしは下を向いたまま、越智君に質問をした

「え?」

越智君が、何を質問されたのかわからない顔をしていた

「昼休みの時間…どうしてみんなの前でしぃちゃんが傷つくようなことを言ったの?」

「ああ、それか」

越智君が説明しようと口を開きかけると、校庭から大ちゃんが叫ぶ声が聞こえた

「越智愁一郎! 真面目に部活をしろ」

「げ…岡崎にバレた。またな」

越智君が、あたしの頭をポンと軽く叩くと、小走りで校庭のほうに走って行った

『マネの仕事なんて全然してないくせに』
『顧問が従兄だからって、甘えてるのよ』
『越智君と一緒に居たいのぉ…て?』

背後から、あたしを馬鹿にしたような失笑が聞こえてくる

しぃちゃんと仲良くしている友人たちの声

昼休みに、しぃちゃんを守るようにして教室を出て行った人たちが、今、フェンスの向こう側からあたしの悪口を言っている

あることないこと、ポンポンと言葉にしては、くすくすと笑い合っている

あたし、このままじゃ…越智君の気持ちを受け入れられそうにないかも

こんなふうに、言われ続けるなんて耐えられないよ

越智君は好きだよ

だけど、付き合うってなったら、周りからのヤッカミがもっと酷くなりそうで怖い

こんなふうに、噂や悪口を言われて、聞き流すなんてできないよ

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