君を愛す ただ君を……
「部活は辞めるつもりでいたけど、しぃと付き合うつもりは全く無いよ」

「え?」

越智君の言葉を聞いて、あたしは全身がカーッと熱くなった

恥ずかしいっ

あたしの勝手な勘違い?

これじゃあ、あたしがヤキモチを焼いて、ただ苛々しているだけじゃない

しぃちゃんと最近、よく話している姿が目に入ってたから、すっかり仲が戻っているのかと思ってた

しぃちゃん、部活の終わりの時間を聞いてたし、一緒に帰るもんだと思ってた

「…で?」

越智君の流し眼に、あたしは布団を掴むと首まで引き上げた

「え? な、何?」

「どうして怒ってたの?」

越智君が嬉しそうな顔で、あたしを見てきた

「べ、べつに怒ってないし」

「怒ってたじゃん。『惚けたってあたしは騙されない』とかって言っちゃって」

越智君が、にこにこと上機嫌な顔であたしの頬をそっと撫でた

「その…えっと。別に深い意味はないけど…」

「意味はあるでしょ?」

「だってジャージに退部届が入ってるから、頭が混乱しちゃったっていうか」

「混乱して、どうしたの?」

あたしは身体を起こすと、枕を越智君に向かって投げた

越智君は枕を受け取ると、くすくすと肩を揺らして笑った

「意地悪!」

「意地悪なのはそっちだろ。なかなか本心を見せてくれないし、近づいたと思ったら、俺を遠くに突き放すんだから」

越智君が、丸椅子から腰を浮かせると、あたしの両頬をそっと掴んでキスをした

唇が重なると、越智君の舌があたしの口を割って入ってきた

初めての感覚にあたしは、越智君のジャージを強く掴んだ

越智君と触れあっているところが熱くてとろけそうになる

幸せで、何も考えられなくなりそうだ

< 85 / 507 >

この作品をシェア

pagetop