メモリー

あたしの走りによって勝敗が決まるんだ。


今更ながらそれが実感してくる。


手には汗がじわじわしてきた。



けれども、久々に走れる。


もう一度、コースに立てるんだ。


そういう嬉しい気持ちもあった。



あたしは緊張と喜びが入り混じった感情のなか、入場門の前に整列した。



「笑!!」


うしろから大好きな声が聞こえる。


『隼人!!』


多分、今のあたしの顔は隼人にやっと会えた喜びで頬が緩んでると思う。




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