王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
流浪の民に死角はない。
それはベリルも同じこと。
刃に炎を纏わせそれを振るう。
高熱を発し赤く染まった刃は、ドラゴンの鱗を一瞬にして溶かし簡単にその身を断ち切る。
軽い身のこなしで次々とドラゴンを狩る姿は、まるで宮廷の踊り子のように美しい。
金髪が風になびき、鮮血がベリルを彩る。
ドラゴンとの命をかけた戦いだというのに、マルタはベリルに見惚れていた。
なのでエナの声が届き我に返った瞬間、自分が置かれた状況に思考が一時停止した。
ドラゴンに囲まれて、今にもブレスを吐こうと頬を膨らませている。
「い、いつの間に……」
ただ気付かなかっただけだ。自業自得。