王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

流浪の民に死角はない。


それはベリルも同じこと。


刃に炎を纏わせそれを振るう。


高熱を発し赤く染まった刃は、ドラゴンの鱗を一瞬にして溶かし簡単にその身を断ち切る。


軽い身のこなしで次々とドラゴンを狩る姿は、まるで宮廷の踊り子のように美しい。


金髪が風になびき、鮮血がベリルを彩る。


ドラゴンとの命をかけた戦いだというのに、マルタはベリルに見惚れていた。


なのでエナの声が届き我に返った瞬間、自分が置かれた状況に思考が一時停止した。


ドラゴンに囲まれて、今にもブレスを吐こうと頬を膨らませている。


「い、いつの間に……」


ただ気付かなかっただけだ。自業自得。
< 146 / 209 >

この作品をシェア

pagetop