もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
どんなことをしても一番を取り戻す。
だけど黒龍との差は広まるばかりだ。
いつの間にか、どうやって上回るのかを忘れてしまった。
そんなときに、黒龍の総長に女がいるという噂が流れてきた。
これは使える―――と思った。
「ねぇ……これ、ここ刺したらこの子どうなるかな?」
ツツッとナイフがあたしの頬を伝い心臓あたりに添えられた。
「貴様!雪那に何かしたら許さねえからな!!」
焦りながら叫ぶ慧斗。だけどナイフを向けられているあたしは、じっとナイフを見ていた。
脅えることなく、怖がるわけでもなく。
………ここで、死ねば、あたしは……
「君、怖くないの?」
金髪が不思議そうに聞いてきた。
怖い?
「刺せるなら刺せば?」
怖くなんかない。