もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



一人状況が分かっていないあたし。


その間も足は進んでいて、総長と幹部が入れる部屋に連れて行かれて、そこで初めて慧斗が手を離した。慧斗は、あたしと向かい合わせになるように立ち、じっとあたしを見下ろす。


何か言われるのだろうか、と待っていたあたしの頬に、衝撃が走った。


―――パンッ


「バカ野郎!!」


一瞬、何が起きたか分からなかった。
頬が痛い。反射的に自分の頬に手をやる。


「約束しただろうが!!」

「…………」

「連絡はしない、携帯もきる、挙げ句誘拐されるなんて!!」

「っ」


どうして、どうして?


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