もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
ズキズキと体が痛む。
あたしは、また同じところに爪を立てると一回だけ、引っ掻いた。
…………この痕が、慧斗から与えられたなら良かったのに
「………え?」
そう思ってハッと我に返る。
待って。あたしは今何を考えた?
慧斗なら………良かった?
自分の考えに驚いていると、またドンドンと風呂場のドアが叩かれた。
「雪那っ」
「っは、はい……きゃぁっ」
慧斗の少し焦ったような声に、あたしは慌てて立ち上がろうとして、足を滑らせてしまった。
「雪那?!」
ガンッと音がするのと、ドスンと言う音はほぼ同時。
「……………」
「……………」
沈黙があたし達の間に流れる。