もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



「月ちゃん、あたし屋久島に行く」

『屋久島ぁ?』

「うん。決めた」


屋久島に行くよ。あたしは。
そこが旅の終わり。


『遠くない?』

「いいよ。旅だから」

『だけど……』

「とにかく、もう決めたから……じゃあね」

『ちょ、待ちなっ』

「バイバイ」

『雪那っ……!!』


呼び止める月を遮り、あたしは一方的に別れを告げると、電話を切った。
ごめんね、月ちゃん。


あたしは暫く公衆電話を見つめた後、くるりと向きをかえてボックスから出た。


「さーてと」


ぐうっと伸びをしてあたしは、歩き出す。最後の旅の準備をしなくちゃ。


最後の………最後の旅。


あたしの死に場所は、屋久島。


< 256 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop