もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



―――――――
―――――


船に乗るなんて人生初だった。


「お嬢さん、顔色悪そうだけど大丈夫かい?」

「………なんとか」


見事にあたしは船酔いをしてしまった。
船怖………


「見たとこ一人のようだけど、観光かい?」

「はい………」


親切なおばさんがあたしの荷物を持ってくれた。おばさんは、この島の案内役を担っているそうだ。


「なんでこんな何もない屋久島なんかに?」


おばさんは、観光に若者がしかも一人で来たことに不思議に思っているみたいだ。


あ、ちょっと良くなってきた。


あたしは、深呼吸をするとおばさんから荷物を返してもらった。


「何もなくないですよ」


見渡す限り建物はたしかに少ないけれど、自然が一杯だ。


< 257 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop