もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



今のあたしには十分な景色だ。


「そうかい?変わったお嬢さんだ」


そう言うおばさんは嬉しそうだ。
ここが、屋久島………旅の終焉。


「ねえおばさん、ここで一番綺麗な場所はどこ?」


必要最低限しか入れていない軽いリュックをからいながらおばさんに聞く。


あたしの質問におばさんは考えるように唸る。


「一番綺麗な場所?そうだねぇ……」


そう言われてもあたしは一つだけしか言えないよ。


「どこ?」

「ここさ」


………ここ?


ここって船着き場?………まさか、


「屋久島、全てさ」

「おばさん」

「ここの全てがあたしにとっては一番の最高の場所だね」


まるで自分のことのように自信満々に言うおばさんにあたしは笑みを溢した。


そっか……そうだよね。


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