見えないお姫さま
私はヴァンの胸を掴んだ。
決めたの。
もう迷わない。
「…アイリ、好きだよ」
そう言うと、ヴァンは力を込めてギュッと私を抱き締めた。
ヴァンはこんな私を好きと言ってくれた。
姿の見えないこんな私を。
奇跡なんじゃないかと思う。
ヴァンが私を好きになってくれるなんて奇跡でしかないって思う。
だから、離したくない。
何よりも、離したくはない。
そう――。
例え、お父様を敵に回しても。
「私も…、好き」
「アイリ…」
私はヴァンの唇に自分の唇を押し当てた。
「ヴァン…、大好きなの」
「アイリ」
それからヴァンにとろけるような甘いキスを貰った。
この時が永遠に続けばいいと思った。