孤島の結束
エピローグ
 モーターボートで港に着いた六人は、警察に行き事情を説明した。

 もちろん真実ではなく、タイ米こと前田五郎が、竹山彩と田中友彦を殺し、逃げられないと思い崖から飛び降りたと……。

 その時、ひとみと可奈子は泣き、松島悟とマジタニ、双子のケンとマサは落ち込んだ。全て芝居である。六人は、友人が友人を殺した現場に居合わせた、悲劇のヒロインになりきっていた。


「私のせいです。タイ米が彩と田中君を殺そうとしたのを止められなかったから」


 ひとみはそう言って泣き、


「ひとみのせいじゃないよ、俺達が別荘のパーティーをしようなんて言わなければ、こんな事にはならなかったんだ」


 双子のケンとマサも涙ぐみながら言った。


 警察はこの六人の証言を信じ、同情する言葉をかけ、六人を見送った。

 そして六人は暗い表情を見せ、警察を後にすると、一番近い松島悟夫妻の家に向かった。

 松島夫妻の豪邸に着くと、六人は一斉に大笑いした。


「ハハハハハ! 私の計画上手くいったでしょ?」


 ひとみが自信満々に言った。


「ホントホント! 最後のタイ米の驚きようっていったら笑えたよねぇ」


 可奈子も大笑いしながらそう言った。


「怖い女だぜひとみは。そんな小悪魔的な所が魅力なんだよなぁ」


 マジタニがそう言うと、松島悟は、


「まあな! でもひとみの計画がなければ、俺達、彩と田中に一生強請られてたかもな」


「ひとみのおかげだよ! これからはみんな楽しく暮らせるな!」


 双子のケンとマサが、そう言うと六人は心底笑いあった。




 あれから二ヶ月が経ち、六人は平和に暮らしていたが、結局タイ米の遺体は見つかる事はなかった……。

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