ロシアンルーレット【コミカルアクション】
「もういいっつってんだよ!」


 ちょっと強めの口調で言ってみる。


 無視かよ…何なんだコイツ?!


「俺に触るな!!聞こえねーのか!?」


 そう怒鳴りつけて、そいつの手首をつかんで、タオルを握った手を俺から引き離した。


 通りを歩いていた誰もがその大声に驚き、俺たちに注目した。


 ようやくそいつは顔を上げて俺を見た。


 あんなに乱暴に、怒りに任せて大声で怒鳴ったのに、怒鳴られた本人はキョトンとしていた。









 聞こえ…ないのか…。








 耳の不自由なその女は、身だしなみ程度の薄い化粧だったが、各パーツがすべてきちんとした位置にあり、とても綺麗だった。


 やや大きめの瞳のせいで幼く見えるが、多分20代前半ってとこだろう。




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