ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 「あ…2個しかない…」


 ダイニングテーブルの上に、きちんと整えられた二人分の夕食。


 そのメインディッシュの皿の上に載ったハンバーグの数に、俺は泣きたくなった。


「私のを半分あげるから…。」


 彼女は溜息混じりにそう言った。


 それは俺にとって、死刑宣告に等しい。


 恨めしそうな視線を彼女に送ると、彼女は大きく息を吐き、Gパンの尻ポケットから携帯を取り出して開き、ボタンを操作すると、それを耳に当てて俺を腹立たしげに見た。


「あ、隆治(リュウジ)?」


 電話の相手が出ると、彼女はくるりと向きを変え俺に背を向けた。


「お疲れー。悪いんだけど、コンビニでお弁当1個買って来て。・・・・・・・うん、そう、正解!!・・・・・・・・うん、もうすでにここにいるから。お願いね。」


 電話をパタッと閉じて、彼女はくるりとまた俺の方を振り返った。


 そして…


「元気そうじゃん?!皆人。」


 って言って、くしゃっと笑った。




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