ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 兄貴は男に向かって軽く頷いた。


 男は何か言いたげに俺を一瞥すると、カウンターの上にあった自分のタバコを荒っぽく毟り取る様に拾い上げ、そして兄貴に切なげな視線を送ると身を翻して他の客に続いた。


 なんとも気色悪い中年マッチョの熱い視線に鳥肌が立った。


 案外兄貴、まんざらでもないかも?


 弟として、そうでないことを切に願わずにはいられない。


 俺は、ホモマッチョが確実に消えるまで、見張るようにその背中を目で追い続けた。


 ヤツの姿を隠すように店の扉が音を立てて閉まると、兄貴の声が下から聞こえた。


「皆人…照明の修理代、報酬から差し引くからな。」


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