ロシアンルーレット【コミカルアクション】


 しばらくの間俺達は、押し黙ったまま微動だにしなかった。


 俺はうつむいたまま、ツルツルしたカウンター表面をただボーッと見詰めていた。


 そんな沈黙を破ったのは兄貴の方だった。


「お前を殺す気なら、とっくに殺ってたさ。」


 兄貴は唐突にそんなことを言った。


 顔を上げるとそこに、兄貴のあの頃のような優しい笑顔があった。


「どんなに俺が腐ったって、お前は血の繋がった弟だ。」


 そう言って微笑んだ兄貴の瞳は、どこか悲しげだった。


 俺は返す言葉が見つからず、黙って兄貴を見詰め続けた。


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