治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


どうしようかと思っていれば。


「ユーリお姉ちゃん、悪い人探しているの?」


アリスちゃんが首を傾げながらそんなことを聞いてきた。


そういえば、さっき言ったなと思う。


「うん、悪者探してるの。そういえば、アリスちゃん。ここら辺で怪しい人見なかった?」


膝に手を当てて、アリスちゃんとなるべく目線が同じになるようにしゃがんだ。


――それで気づく。


「ぬいぐるみ……」


「見たよ、悪者」


ウサギのぬいぐるみ。よく見れば、汚いぬいぐるみだった。


ボロボロで、綿が出ていて。


「悪者いっぱいいたの。みんな、怖い人たちだったの。怖い、こわーい、いっぱいの人たち」


ウサギが首にさげる金色の時計は、文字盤にひびが入り止まっている。


< 135 / 411 >

この作品をシェア

pagetop