治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「すっごく怖かった。でもね、ママがアリスを助けてくれたの」
片耳が千切れていた、そのウサギは。
ずっと昔に乱暴にされたようでボロボロのウサギを、アリスちゃんは大切に抱えて。
「剣を持った悪者。みんなママがやっつけてくれた。アリスのママは強くて、アリスをいじめる奴をみーんなやっつけてくれた。――だからね、お姉ちゃん」
鳥肌がたって、反射的に私は女の子から離れた。
三歩ほど後退して、盛り上がった土にかかとがつまづく。
「――――」
盛り上がった土。
気づかなかった、気づくはずがない。
「悪者はもういないんだよ。みーんな、ママが埋めてくれたから」
「あ、あ……!」
銀の甲冑が――頭部分の鎧が土から顔を覗かせていた。
――気づいたこと、ここは死体の埋葬場所だった。