治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


“会話”をし終えた彼女がこちらを向く。


「ユーリお姉ちゃん、ごめんね。ママがお姉ちゃん怖いんだって。アリスもよく分からないけど、危ないからってママが。だからね、お姉ちゃん」


アリスちゃんが十字架の前――話していた場所から横に少しずれる。


片手をあげて、その小さな指で宙に何かを書く。


「お姉ちゃんがアリスに何かする前に、ママが埋めたいって言ったんだー」



肉が腐った匂いが広がった。


アリスちゃんの指が動く度に、息を我慢してしまうほどの腐臭が漂い。


――足元が、揺れた気がした。



【ママ、ママ。おはよーしよう。ママ、ママ。アリスのことなでなでして。ママ、ママ。出てきてアリスと遊びましょう。

おいでママ。そちらの世界とさよならして、ただいまってこちらの世界に顔出して。

アリスが助けてあげましょう。ママが大好きなアリスはここにいて、アリスが大好きなママの体もここにある】


歌うような声は、いつか聞き覚えがある音色。


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