治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
思い出す。
それは昨日、世界を浸食した彼のあの魔の音色。
あの音色よりも長いみっちりとした声は呪文であり、――世界そのものの色を変えた。
【黒がいい。ママに似合う黒でお出迎え。真っ黒だから怖くない。明るくないから眩しくない。黒しかないから安らげて、ママも安心してただいまって言えるから。
黒、黒、黒。世界を塗り上げ黒色に。お空から黒い絵の具をたらして染めましょう。ママが眩しくないように】
昼間が消えた時。
周りが一気に黒くなる。
ただ景色はそのままで、モノクロの中にいるようだった。
白と黒だけで明るさなんかどこにもない。
モノクロの世界は人が住めるとは思えず、これではまるで。