治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「ママ、背中についているよ」
無邪気な笑みで取れきれなかった土を、パタパタとアリスちゃんが落としてあげていた。
「ママ、お帽子かぶらなきゃ。光は遮断したけど、念のためにかぶらなきゃ、また顔が崩れちゃうよ」
心配げに言うアリスちゃんに――出てきた黒人は応えた。
帽子、そう言われて黒人(くろびと)は十字架にあったヘッドドレスを取る。
その動作は、人間の形をしたブリキのよう。
関節がおかしな方向に曲がるも、何とか人間らしくいようとカクカクとした動きで帽子をかぶる。
黒いヘッドドレスから垂れるベールは黒人の顔を隠すわけだが――見てしまった。
動いた時、黒人の顔にかかる髪がズレてその奥を。
生きている人の顔ではなかった。
目玉が取れて、白骨が見え隠れするような腐った顔。
それを隠すためか帽子をかぶっても、黒人からする薄気味悪さは変わらない。