治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「ママぁ、綺麗だよー」


それに満面の笑みで語りかける女の子がいた。


女の子がいれば、その子の頭を撫でる黒人も。


またブリキめいた動きでも、顎を撫でられた猫のように幸せな顔をするアリスちゃん。


幸せそうだった。ママ、ママと小さな女の子が母親に甘えるのと何の代わりもない。


ただ、その母親が“生きていない”という点を除けば。


「あ、アリスちゃん、それ……!」


「ママだよ。疲れてたから眠っていたの。ママ、お姉ちゃんに挨拶しようよ。え、まだ怖いの。

ねえ、ユーリお姉ちゃん。ユーリお姉ちゃんは怖い人なの?」


そう聞かれるが私にはよく分からない。


むしろ怖いのは私の方だった。


おびえ、震えて、悲鳴もあげられない。


死体が動く魔術など知らない私にとっては。


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