治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「ダメだよ。お兄ちゃんの居場所知るために、ラグナ様にまで聞いたんだから」
「…………、へえ、あのババアがか」
「ラグナ様がね、お兄ちゃんはこっちに逃げたって言ったの。
だからね、アリスはね、ママと一緒にお兄ちゃんを探してね。
……でも、お兄ちゃん、生きてるみたいだね」
「俺があのババアに殺されるわけがない。まあ危ないと言えば、危なかったが、おあいにく様だったな。五体満足だ。もっとも、前とは違う存在定義をもってしまったが」
「ババアだなんて言ったら、ラグナ様怒るよ。がおーって」
「君の呼び名も相応しくないよ。“世界の終焉たる災厄”(ラグナロク)とはあの人の二つ名かもしれないが、俺の通り名でもある。
まあ、こちらは“神々の黄昏”(ラグナレク)とまた意味が違うが。あの女は、本名で呼んであげたらどうだい。年甲斐もなく喜ぶと思うよ」
「ラグナ様の名前、難しいの。そう言ったらね、ラグナ様はラグナロクでいいよって言ったの」