治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「…………、っ」


彼の舌打ちの音。

手を横に伸ばし、指先で数画の線を書いたと思えば。



「処刑としよう、アリス。泣きわめく君の首に、冷たい刃をおろそうか」


一振りの刃が出てきた。

あの十字架に対応してか、剣とは言い難い巨剣。


刃の部分が四角形なところは、断頭台(ギロチン)を思い出す。


黒いギロチン。
小さな子供の首どころか、一振りで体を真っ二つに出来るだろう。


「怖くない……。怖くないよ、ママ。ママにはアリスがいるし、アリスにはママがいる。

お兄ちゃんなんか怖くない。だって今のお兄ちゃん――」


アリスちゃんが笑う。
同時、黒人がかけた。



そのかけようは、獅子が飛び出した速度と変わらず――速度と同時に、巨石の十字架が振りおろされた。


ぶつかり合う、石と刃。
ぎり、と奥歯を噛み締めたのは他ならぬ彼だった。



黒人の身長は彼よりも大きく、墓碑はそれよりも巨大。




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