治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
力比べどころの話しじゃない。
崖から落ちる岩をどうして生身の人間が受けきれるだろうか。
あきらかな劣勢はこちら。
十字架に潰される前に、彼が一歩引いた。
――そこで。
「ユリウス、下がって!」
初めて、彼が声をあげる。
下がれと言われたなら下がるが、いきなりのこと対応しきれない。
止まったままの私。
彼は下がろうと――あの十字架から間合いを取ろうとしたが。
「ぐっ……!」
私より後ろにいってはいけないと踏みとどまった。
来るは岩石めいた衝撃。
彼の足が地に埋まりそうなほどの重さがかかる。
――ここにきて、自分の足手まといというのを知った。
第一、分かっていたはずだった。
彼が、私の半径二メートルしか行動出来ないということを。