治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


力比べどころの話しじゃない。

崖から落ちる岩をどうして生身の人間が受けきれるだろうか。


あきらかな劣勢はこちら。


十字架に潰される前に、彼が一歩引いた。


――そこで。


「ユリウス、下がって!」


初めて、彼が声をあげる。


下がれと言われたなら下がるが、いきなりのこと対応しきれない。


止まったままの私。
彼は下がろうと――あの十字架から間合いを取ろうとしたが。


「ぐっ……!」


私より後ろにいってはいけないと踏みとどまった。


来るは岩石めいた衝撃。


彼の足が地に埋まりそうなほどの重さがかかる。


――ここにきて、自分の足手まといというのを知った。


第一、分かっていたはずだった。


彼が、私の半径二メートルしか行動出来ないということを。


< 156 / 411 >

この作品をシェア

pagetop