治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
何も出来ない自分の歯がゆさを感じる。
彼の動きに合わせようとするが、なっていない。
せめて、私が何か出来ればいいのに。
「ほらあ、ママ。今日のお兄ちゃん、前と違うよ。うん、これなら“みんな”でやっつけられるね」
黒人の向こう。ウサギを抱いたアリスちゃんが笑っている。
「頭痛いの?お腹痛いの?風邪引いちゃったの?お兄ちゃん、前と違う。このお兄ちゃんなら、ぜんぜん怖くない」
彼を見て震えていたのが嘘のように、きゃっきゃっと跳ねている。
抱いているウサギもアリスちゃんと一緒に跳ねて楽しそうに。
【ママのお手伝いをしようよ、みんな。ママはもうみんなを許すから。許されたいならまた出ておいで】
また流れた魔の音色。
彼があからさまに動揺したのが後ろからでも分かった。