治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


何も出来ない自分の歯がゆさを感じる。


彼の動きに合わせようとするが、なっていない。


せめて、私が何か出来ればいいのに。



「ほらあ、ママ。今日のお兄ちゃん、前と違うよ。うん、これなら“みんな”でやっつけられるね」



黒人の向こう。ウサギを抱いたアリスちゃんが笑っている。


「頭痛いの?お腹痛いの?風邪引いちゃったの?お兄ちゃん、前と違う。このお兄ちゃんなら、ぜんぜん怖くない」


彼を見て震えていたのが嘘のように、きゃっきゃっと跳ねている。


抱いているウサギもアリスちゃんと一緒に跳ねて楽しそうに。


【ママのお手伝いをしようよ、みんな。ママはもうみんなを許すから。許されたいならまた出ておいで】


また流れた魔の音色。


彼があからさまに動揺したのが後ろからでも分かった。


< 159 / 411 >

この作品をシェア

pagetop