治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
――黒人がアリスちゃんの前に立ちはだかった。
十字架を振り回す。
全ては向かってくる火柱を“叩き消す”ために。
岩石を前にしては、小さな火は消え去るしかない。
バレリーナのように綺麗に舞う黒人の周りには、火柱の残りかすが地面に落ちて。
【おかえりなさい】
地が、また揺れた。
一つ、二つ、四つ、七つ、盛り上がる土は数え切れないほど。
先ほど見たというのに、また見入ってしまう。
地面から人が這い出るという悪夢。
小さなころ夢の中で見た悪夢の体現。
――もっとも。
「みんなでお兄ちゃんをやっつけよう」
現実の悪夢は、死を呼ぶ世界でしかなかった。