治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
はじけるような声。
震えていた黒人が違和感があるほどにいきなり止まり、向かってきた。
「っ……」
当たり前のように彼が黒人と対峙する。
だが左腕だけではあの十字架を防ぎきれない。
「シブリールさん……!」
また同じように私が彼にかけよろうと――出来なかった。
足を掴む手。
ぼこりと土から手と顔が出ていた。
腐りかけの手に掴まれた感触。足元から背中まで一気に体温が下がり、声をあげた。
彼がこちらを振り返る。助けようにも、黒人と対戦中にそんな余裕はない。
足を動かし、振りほどこうとする前――足首にあった手が太ももまで這いずってきた。
這いずると同時に、死体が上がってくる。
太ももから腰、肩まで来て、その私の体にすがる重さに耐えきれず倒れた。
「っ、あ……!」
背中くる痛み。腐りかけの肉に押し倒され、押さえつけられた恐怖。
悲鳴を呑み込み、私の体に触る死体を抗った。
「ユリウス……!」
彼の声。
助けてとは言えない。
彼の方が、危なかったのだから。