治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


私に気を取られたせいだろう。何とか岩石と戦えていた断頭台が――弾かれた。


右に薙払われた十字架の気流にでも乗るかのように飛んだ断頭台。


無防備な彼。
とどめと言わんばかりに、黒人が大きく十字架をあげた。


彼の頭ごと、地面に突き刺すように真っ直ぐと。


「やっ――」


やめてと言う暇は――


「………、腐れかけが」


彼がすべてを持っていった。


予想を裏切る光景が広がる。


私が思い描いたのは、突き刺された彼の姿。


――だがしかして。


「ママっ!」


見たのは、蹴り飛ばされた黒い人。


どれほどの脚力か、宙に浮き上がるというだけでも凄いのに、落ちてもなお地面を擦りながらアリスちゃんの方にまで戻される。


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