治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
遠くから見てくださいっ、と言ってしまいそうになる恥ずかしいぬいぐるみだが。
「ふふ、そうかそうか。この感じでは、魔術ということはなかろう。
アリス、このぬいぐるみの大切さは変わらぬよな」
「ずっと大切だよ、ぬいぐるみは。アリスのお友達!」
「そうではない。前と変わらず、大切に出きるか。という話だ。
こうして一度直してもらえば、物の価値は下がってしまう。
大切にしようという気持ちが薄らぐのだよ。一度があるなら二度。二度があるなら三度。
そうやっていく内に、『雑に扱っても大丈夫』と人間は、知らずと物の価値を落とすのだ。
しかしな、ふふ、いい具合に“愛着”が出ておるでないか。このウサギは。
これならば、アリス。直したのがいかに大変だったか、知っておろう」