治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「大切だよっ。ユーリお姉ちゃんがいっしょうけんめーやってたの」


見てるもんっ、といったアリスにはほろりと来る。


三時間かけて直した甲斐があった。おかげてこんな夜になってしまったが。


私が密かなガッツポーズをしていれば、ラグナロク様がアリスにあめ玉を一つあげていた。


「“愛着”は大事だ。そなたがもとからもっていた“愛着”(傷)だらけのぬいぐるみを、直してもらった今でも持続――いや、その分じゃ余計に愛着がわくだろう。

いいことだ、覚えておくが良い。物に思いを宿すのは無意味ではない。

大切にしようという教養と常識がよく身につく。物だからこそおごそかになるからな。アリス、ずっとそのぬいぐるみを手放すではないぞ。

いつか、母君と同じようにその役割を果たすまで」


あめ玉を舐めるアリスに言う彼女は、何だか母親みたいに優しく感じられた。


常識がなっているというか、大切なことを知っている教師みたいな人でもある。


そんな風景を見ていれば、ふとラグナロク様がこちらを見た。


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