治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「さて、一から会話しようか。久しぶりだなぁ、“神々の黄昏”(ラグナレク)よ。余は心配しておったぞ」
うやうやしく会話し始めたラグナロク様相手に彼は眉一つ動かさず、逆にそっちがその気ならと“それらしい”表情をしていた。
「お久しぶりです、ババア……失礼、“世界の終焉たる災厄”(ラグナロク)よ。心配だなんて、痛みいります。あなたが俺の体中に開けた穴ぼこはすっかりと完治致しましたよ」
「ほう。死んだと思っていたが、回復したか。愉快だな、流石は我が弟子にしてアフロディーテの名を持つに値する男ぞ。
まあ、もっとも。その男も、余にかなわず負け仰せ。アフロディーテの名を剥奪されたわけだが。
今日は何ようか。またあの七日戦争でも始めようというのかえ?」
聞いたことに、反応してしまったのは仕方がないだろう。
アフロディーテの名の持ち主はラグナロク様であり、彼は一度それを渡されて、現段階はまたあるべき持ち主に戻っている。
結果論は分かっていた。
だが、その過程――そうなったいきさつは知らなかった。