治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
思わず怒鳴ってしまったが、口を塞ぐのは早かった。
ラグナロク様の前でなんていうことをと、私はすぐに頭を下げようとし。
――彼が、私の前。何かから守るようにその身を出してきた。
何だろうと思えば、目線の先にはラグナロク様。
人差し指を出し、くるくると天に向けて回している。
「腐れババア……、あまり人の中を見ないでもらいたいな。俺の知らない彼女の中身を、他人が知るだなんて我慢出来ないですから」
「そなたが知り得ないことを知ろうとしているのでない。どうにも、そなたに会った時から違和感はあったのだが。
ほほっ、シブリール。そなた、面白いことになっているようだな。なんだ、体をどこに“捨ててきた”?」
「捨てたわけじゃない、彼女に与えたんだ。俺の愛する彼女と生涯共にするために」
「愛……、愛とな。クッ、そなたが愛を語るとは。滑稽だが、なかなかに興味深い。豚が空を飛ぶほど興味深く面白いぞ。
のう、シブリール。上手い具合に定着しておるようだが、そなたの魔導でよく魂と肉体の分離、にして、肉体の半固定化をやり抜けたものだ。
ユーリよ、そなたが力を貸したのかえ?」