治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「…………」


「いい目だ、ラグナレク。天使と悪魔をその足で踏み下し、幾つもの管理者に名を知られてしまった化け物よ」


「言うな……」


「聞こえぬな、化け物。目的もなく力を増し続け、意味もなく探求するそなたの存在意義はどこだ?

なぜ、逃げたのだ。なぜ、生き長らえた。なぜ、死ななかった。

己の存在に疑問を持つ虚空者よ。手を見つめ続けて、“何”が見えた。

変わらぬだろう。同じ手だ、紛れもない生きているお前の存在(疑問)よ。


だからこそ、そなたにアフロディーテという役割を与えてやったが。見当違いだったな。何の役割を持っても、所詮そなたは変わらぬ。

中身がないマトリョーシカとは、そなたに違いないのかえ?」



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