治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「……………」


私の前に立つ彼の後ろ姿が、ひどく弱く見えた。


昨日見た、アリスのママ――死人よりも脆そうで、何も持ち合わせていないような孤立体に似ていた。


「シブリールさん……」


言いながら、彼の手を掴む。


軽く掴んだだけなのに、彼は驚愕。こちらに素早く振り返り、有り得ないものでも見ているように目を動かしていた。


「…………、ユリウス」


やがては落ち着き、私の名を呼んだ。


じっくりと私の姿を見て、その後に自分の手――先ほど私が握った手を見ていた。


「ユリウス、覚えているか」


「え……?」


「いや、やはりいい。今は、君の欲しいモノを手に入れようか。

ユリウス、聞こう。君は、何が欲しい」


見ていた手を握りしめ、熱がこもったような眼差しを向けられた。


< 296 / 411 >

この作品をシェア

pagetop