治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「危ないならやめて下さい。……プライドでまたラグナロク様に挑もうとするならそれも。

目の前で、誰かが死ぬのは見たくないんですよ。それが、私を好いてくれる人ならなおさら。残される痛みはきついんです。だからどうか、あなたは私の“思い出の中の住人”になってほしくない」


言いながら、彼が私の頬に手を添えた。


「ならない。約束する。指切りでもしようか。君の前で死ぬようなことがあれば、俺は死ぬ行き先を地獄とし、永劫この身で七つの拷問を受け続ける」


「そ、そこまでは」


「クッ、それだけ俺は、負ける気がしないってことだよ」


彼がまた、ラグナロク様の方に向き直る。


その背中は大きくて。


「負けない、絶対。だって、後ろには君がいるんだから」


歌うように彼は勝利を宣言していた。


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