治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


悶えるなか、パチンと指を鳴らす音を聞き――熱さが霧散した。


びっくりするぐらい急なことで、きょとんとしてしまう。


地に膝をついたままでいたら、シブリールさんが私に寄り添ってきた。


「大丈夫かっ、もう……っ、もう痛む場所とかはないか」


「あ、はい……どこも」


「目、見せて。刷り込まれた毒が残っていないか見るから」


顔を上げさせられた。
深い藍色の瞳が、心配そうに念入りに、私の目を見ている。


「今のって……」


「幻惑だ、ただの。人間の目から入り込み、脳を冒す毒」


話しながら、大丈夫だと彼は納得したようだった。


私を立たせて、化け物が群がる後ろにいる女王を彼は。


「切り刻む。刻んだ肉を釜ゆでにし、そこの醜い化け物の餌にしてやろう」


「まあそう怒るでない。余とて、こうなるのは予想していなくてな。魔の耐性もつけない娘だと思わなんだ。

未だにこの領域――我らの舞台にいるんだ。てっきり、己が身を守れるほどの力はあると勘違いしておった」


< 308 / 411 >

この作品をシェア

pagetop