治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
ラグナロク様の勘違いはもっともだった。
彼女は知らない、シブリールさんと私の関係を。
二メートル範囲でしか動けない限定だからこそ私は危険な領域にいて、同時に、ラグナロク様にその限定(弱み)を知られてはいけなかった。
「シブリールよ、安易ぞ。愛する者を守ってこその男だ。力ないユーリをこの場に置くべきではない」
「……俺と彼女は、一心同体なんでな。ずっとそばにいるんだ」
「何を言うておるのか。……ああ、なるほど。よもや、そこまで成し遂げるとは」
愉快愉快と笑う人が、何を思ったかは知らない。
でも、私たちの関係性はもうバレてしまっているのだろう。
「乗り移りでもなく、取り憑きでもなし、か。己の存在意義を代価とし、一つのモノに身を定着させる。ふむ、理屈では出来そうだが、腑には落ちぬな。
そなたの肉体を取り留めているモノはなにか……。やはりその娘の力、ああ、いや、力はないんだったな」