治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「殺す?ふざけたことを言う。ユリウスは生きている、寝息をたててこうしてね」
「ある話しをすれば、人間の死とは通常、脳死であり、または体の器官が機能しなくなることをさす。
ついで、遷延性意識障害(まんえんせいいしきしょうがい)――俗に言う植物状態があるがな。あれは死体とそう変わりないものらしく、余にとってはもはや死体と見ている」
「ユリウスは眠っているだけだ。すぐにまた目覚めれば何の問題もない」
「本当に、か。ほほ、笑わせる。分からぬそなたではなかろうに。
現段階をもって、ユーリは死に急いでいる。内臓が機能しなく、意識もない、ただ脳の僅かな部分が生きているのだから、まだその患者は生きている。――ああ、下らない、実にだ。
それのどこが、生きておろう。自分でまともに呼吸も出来ない廃人を、生者と呼ぶのはあまりにも失礼ではないかのぅ。思わぬか?
人間の脳は、酸素供給が数分でもきれただけでぶっ壊れるガラス細工だ。
まあ、擬似的な意識の刈り取りだから少しはマシだが。いいか、着実にそなたは、ユーリを殺しているぞ」