治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「あまり変なことを言わないでほしい。殺しなんかしないし、死なせもしない。

確かに、俺のこの行為は彼女の意識(脳)を壊すだろうが、植物状態患者を生かせるように、俺も同じことをしよう。

笑っている彼女や、俺の名を呼ぶ彼女をなくすのは寂しいけど、ああ、彼女が生きているならそれでいい。

人形みたいな彼女もきっと素敵に違いない。俺の気持ちは変わることないからね。彼女に添い遂げ、一生、生かし続ける。

一生が終われば、“次”だ。彼女がいる世界まで追いかけて、また二人仲良く手を繋ごう」


抱えたユリウスの頬を撫でて、額に口づけをしてみせた。


盲信する目は、異常者の目。


植物状態である人形と化した女を愛し、手離さないという男は純粋と言えばそうだが。


「そなたの愛は重いな。ユーリがそれを抱えられる器ならば良いが」


深くて大きすぎることは考えものだ。


人間は、誰かの想いでも潰されてしまう心を持っているのだから。


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