治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
ユリウスを哀れむ気持ちが、ラグナロクにはあったが。
「で?いつまで待たせる気だ」
所詮は、他人ごとだった。
人間に介入しない主催者は、ユリウスのこれから先ではなく、今現在の整えてやった舞台を待ち焦がれていた。
「余が悪役ならば、そなたが恋人と“それらしいこと”をする前に殺しておるぞ」
「立派な悪役だろう、あなたは。人間の災厄だ。何より、彼女の正義の味方である俺にとっては、悪の根源にも見える。醜さの塊だ」
「そなたに嫌われているのは別に構わぬ。ただ、楽しませておくれよ。
待った時間を無駄にはしたくない。余が一目置いた黄昏よ。始めよう、リハーサルは終わった。
これより始まるは、本番。観客がいないのはつまらぬが……おっと、可愛い客はおるか。
さあ、シブリール。“人形”を閲覧席に。意識がないのは丁度良い。
見たら最後、生きることが嫌になる演劇だからなぁ」