治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
冗談めに言っては笑い、彼は椅子に図形を書いた。
それだけをして、二歩下がる。
同時に――彼女の周りに“膜”が出来上がった。
半透明の膜。
椅子の周りを包むようにすっぽりとしたそれ。
「人形の君もやはり綺麗だ。大好きだよ」
ガラスケースに入った標本だった。
自分なりにいい演出をしたと彼は微笑む。
巻き添えをくらわないがための防護壁。空気中の酸素だけを集めて、供給させる安全域。彼女の在り方にのっとった装飾品。
いい仕上がりだと彼は思い――離れた。
彼女をずっと見ていたいからか、後ろ向きの歩行だが、確実に離れる。
途中、ある距離で、びりっとかかとが痺れたが――気にせず進めば、進めた。