治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
次の手でも準備しているのか、かなり大掛かりな詠唱をしていた。
気づかぬ間に、五角形がやられた時の保険をかけといたようだが――遅かった。
早かったとも言えよう。思いのほか早く、彼が積み壁の攻略をしてしまったのだから。
口は動くまま、後少しと言いたげに早口となって――
「舌でも噛んで、死ね」
シブリールが、銀の盾を投げた。
「――!」
ラグナロクさえ驚いたのは、この投擲が人間外のことであったから。
地にのめり込むほどの重さがある盾を、片手で投げたという事実。
肉体強化もしていないのは詠唱なしなので分かるが――それならば、投げられたことが分からない。
【風よ――!】
今までためたイメージを全て捨てる。
やったのはどうもしない風での体当たり。
重い物質のせいか、体当たりした後に、風の流れを上から下にしただけで重力に従ったが。
「な……!」