治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
盾を、投擲したものがいなかった。
魔術を出すのに集中し、盾を落とすのに意識を持ってかれたものの油断。
気づかなかったんだ。
「終わりだ」
背後にいたシブリールに。
首を四十度後ろに曲げる。眼の左端にまで瞳孔を持っていき、やっと見たのは断頭台を振り下ろす瞬間の場面。
――終わった。
シブリールはもちろんのこと、ラグナロクでさえそう感じた。
決着がつく。
こんな呆気なくと。
「……、ほほっ」
笑ったのは、ラグナロクであった。
断頭台が止まる。
それどころか、彼の手から離れ、地に落ちた。
カランと音をたて、持ち主から離れる断頭台に――血が滴る。
「か、はっ……ぁ!」
うめき声は、低い声だった。
わき腹をえぐられても膝を折らなかった彼が、よろり、くらりとして、膝を地につかせた。