治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「余にばかり目が行き過ぎだ。殺したいの憎悪は、人を一つのことに捕らえさせる。無鉄砲という言葉があうかの。
焦りすぎだ、詰めを誤ったんだよ、そなたは。
まあ、あまり時間をかけていては、ガラスかごの人形の寿命を縮めるだけの話だが」
シブリールが地に倒れた。
頬を地につけた横顔は、もはや肌色をしておらず、目からは瞳孔が消えている。
おっと、とラグナロクが指を鳴らし、己が出したモノたちを回収したが――トゲがなくなった彼の喉には、大きな“トンネル”が出来上がっていた。
噴水のように血が出ないことを見ると、かなりの量を吸われたらしい。
「そなたの血は、極上だったようだな。まあ、許せ。殺すつもりはなかったが、魔術に死はつき物だと最初に言っておいたからなぁ。
運命、宿命、余と戦うとは、つまりは“こういうことになる”とそなたとて分かっていたはずだ。
ほほ、よほどあの娘に気に入られたかったと見える」