治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


娘、の部分でラグナロクが、死体から目を外した。


見たのは、ガラスかごの人形。


「いいな、綺麗ぞ。いつだってそう、美しいモノは人間ではないものだ。人形になることで価値はあがる。

汚い感情に縛られた物体に、美を語ることはできない。何ももっていないからこそ、無駄な飾りがないのだよ」


クスクスと笑い、ラグナロクは彼女に近づいた。



新しい玩具でも見つけた面白そうな眼差しは――正にその気持ちだからだ。


「シブリールが亡くなっては、そなたは“そのまま”であろうな、ユーリ。余が“直して”もやりたいが……、そなたとて、感情ない生物となりたかろう」


少し哀れむ顔をして、目を瞑り、大丈夫だと言い聞かせた。


――ラグナロクが見た、彼女の“正体”。真相とも言うべきか。シブリールとの関係を探るさいにうっかりと開いてしまった、秘密箱。


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