治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「なんだ、悲鳴を期待していたんだが。流石は、魔女。これぐらいでは痛まないのか」
執行人が月を背にして立っていた。
顔を横に向け、そいつを見る。化け物でも見るような目で。
「ああ、安心しろ。多分死にはしないだろうと思って、腹の皮だけは斬らないでやった」
尚も、“平然”と語る奴には、薄気味悪さしか感じなかった。
喋ろうにも、血の泡(あぶく)が喉に詰まっているせいでしばらくは口を閉じるしかない。
「こうして見ても、いや、化け物は死ぬ間際に人間と大差ない、呆気なく死ぬと、俺は今まで思い、経験、教訓としてもいたんだが……、そんな傷でよく“考えていられるもの”だ。
痛いとか、死にたくないとか、憎いとか、それすらを無視して、普通に生きているときと同じように、疑問を考える。
あなたはこうしても、やはり化け物だった」