治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
瞳孔がなくなったはずの男には藍色の目が蘇っていた。
綺麗な目だというのに、人を見下し、さながら虫を見る目では台無しだ。
くだらなさげに、かつ、どことなくあざ笑うように。
「クッ、顔が言っている。『俺が生きているのが不思議だ』、と。答えてやりたいが、俺とて知らない。何せ、初体験だからな。彼女と共同体となってから、死んだことは一度もないが」
言って、シブリールは自分の首を触った。
無傷である首を何度となく確かめるように。
「どうしてだろうな。傷が無くなった。俺は存在していないと、所詮はユリウスの中の住人と決まっているからか。
無いものに傷はつかない。言葉にしたら理屈は通りそうだが、ああ、無いものだから死にもしないのか」